コーヒーやお茶に関するブログを開設してまだ日が浅い私ですが、そのおかげか、色々なことに対するアンテナも少しずつ敏感になってきました。
それまで気にも留めなかった事やものに対して、目を留めるようになったというのは、新しい世界が広がっていくようで楽しいものです。
今回ご紹介する本も、今までだったら手に取っていなかっただろうな・・・というジャンルのもの。
それが、珈琲店を舞台とするミステリー「珈琲店タレーランの事件簿」。
第10回「このミステリーがすごい!」大賞にて、最終選考まで残り、受賞こそ逃したものの内容が評価され、出版に至ったという作品です。
あらすじ
主人公のアオヤマは、京都の街中、偶然のうちに珈琲店「タレーラン」を見つけます。
無類の珈琲好きでもある彼は、そのとき恋人と喧嘩の最中ということも忘れ、導かれるようにこの店に足を踏み入れます。そこはまるで、突然異世界に迷い込んでしまったかのような、不思議な場所。
そしてそこで出会ったのは、彼が追い求めていた理想の珈琲と、魅惑的な女性バリスタ・切間美星でした。
一見、女子高生のアルバイトとも見紛う雰囲気を持つ美星。
実は、タレーランの腕ききのバリスタであると同時に、抜群の推理力の持ち主だったのです。
彼女は店に持ち込まれる日常の謎を鮮やかに解き明かしていき、そしてーー。
coccha的レビュー&感想(ネタバレなし、ツッコミあり)
珈琲つながり、ということで手に取ってみた、この「珈琲店タレーランの事件簿」。
ミステリー自体、読むのが久しぶりだったので新鮮でした。
「珈琲店」が舞台であると同時に、「京都」も舞台にしているということで、ジャンルは「ご当時ミステリー」のカテゴリに入るんでしょうか?
オススメポイント
- 日常系ミステリーなので、気楽に読める。
あらすじにも書いた通り、事件簿とはいうものの、殺人事などの重大な事件が起こるわけではなく、あくまで日常のささいな出来事を、バリスタ・美星の推理力で解いていく、といったもの。
血なまぐさい事件などは苦手な方には、ラノベ感覚で気軽に読めておススメです。
(逆に言うと、本格派ミステリーを期待している方には、トリックなど含め、正直物足りないかも・・・)
- キャラクター造形が魅力的。
バリスタ・美星をはじめ、彼女の大叔父の通称「おじちゃん」、主人公の元?彼女など、個性豊かな登場人物が物語を生き生きとさせています。
ここがちょっと・・・
これは読み手の好みの範疇だと思うので、それを踏まえた上で読んでいただければと思います。
- 登場人物たちの行動がリアルさに欠ける。
普通、ここでそんなことする!?というような、キャラクター達の行動が気になりました。
主人公の言葉遣いも、20才そこそこの若者にしては理屈っぽく、オヤジくさい(笑)
フィクションだからこそ、人物の心や行動にリアルさって必要だと思うんだよなあ〜。せっかく魅力的なキャラ達なのにもったいない気がする。
- 誰視点の台詞、行動なのかが分かりにくい。
ミステリーという性質上、あえて分かりにくいものにしているのかもしれませんが・・・
時々、いまの台詞は誰が言ったの?などと混乱し、ページを戻して読み直すことが何度かありました。そして、読み直してもやっぱり分からないという・・・。読解力の問題かなあ〜。
- 途中まで、正直退屈・・・!
第1章〜第7章で構成されている本作ですが、第4章くらいまでは、正直言って淡々とした内容が続きます。
いや、ちゃんと謎解きのストーリーにはなっているんですが、ドキドキワクワクするか?というと、ちょっと違うかなと。
ただし、第5章からは展開ががらっと変わり、面白くなっていきます!
なので、ここであきらめないで!!
あきらめないで!最後まで読んでみて〜。
上記で書いたように、第4章まではやや退屈な感が否めません。
(途中でくじけそうになったのはここだけの話。)
ですが、第5章からの急展開は、良い意味で期待を裏切ってくれます。
そして、最後まで読み進めると、え〜、そうだったのか!という驚きに変わります。
これこそがミステリー、推理小説の醍醐味なのかもしれませんね。
そして、「また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を」というサブタイトル。
これこそ、最後まで読むと、 「!」 と思える、なかなかニクいサブタイトルだな〜と思いましたよ。
ところでこの作品、キャラや世界観がまんまマンガっぽいし、コミカライズにピッタリだな〜と思っていたら、やっぱり。既にされているんですね。
こちらから、無料で数話読めますよ。
このマンガがすごい!WEB
さらにじっくり読みたい方はこちらから。
久しぶりに読むミステリー、なかなか楽しかったです。
しっかりとした世界観のある物語なので、シリーズ化もうなずけますね。
主人公達の恋の行方も気になるし、続編も読んでみようかな〜。
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